2005年04月
エンソくんきしゃにのる
あらすじ エンソくん(推定5歳)が初めて一人で汽車に乗り、おじいさんのところに行く。絵:スズキ コージ
黄緑と茶。黒い縁取りが印象的
細かい描写にヘタウマ的な絵、という黄金パターンではあるが、全体的に色が濁っているのと、顔が怖いのが好みじゃない。でもこれがスズキコージワールドではあるのね。力強い筆のタッチ、迫力、変さ加減はとてもいい。
エンソくんきしゃにのる
エンソくんきしゃにのる こどものとも傑作集
絵・文:スズキ コージ
価格: ¥840 (税込)
単行本: 32 p ; サイズ(cm): 19.5×27
出版社: 福音館書店 ; ISBN: 4834010457 ; (1990/09)
アラジンと魔法のランプ
あらすじ アラビアン・ナイトより。成金の話。アラジンは何の苦労もせず他人まかせ。簡単に大金を手にしたり、奴隷をモノのように扱ったり、美人の姫がそんなアラジン一筋だったり。あまりの能天気さに腹が立つよりあきれてしまう。絵:エロール・ル・カイン
エロール・ル・カインの曼陀羅世界 深い茶系の落ちついたトーンが渋い。主役のアラジンの顔はさっぱり印象に残らないのに、ランプの精やら魔法使いやらの印象はやたらと強い。きっと悪い人が好きなのね。カインさん。
アラジンと魔法のランプ ほるぷ海外秀作絵本シリーズ
絵:エロール ル・カイン 再話:アンドルー・ラング 訳:中川 千尋
価格:¥1,470 (税込)
大型本 32 p ; サイズ(cm): 31×22
出版社:ほるぷ出版 ; ISBN: 4593504015 ; (2000/06)
せいめいのれきし
あらすじ サブタイトル「地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし」。特別な物語はない。事実を淡々と描いてある。絵:バージニア・リー・バートン
荒くいい加減なようで細かく描き込んだ絵。時間をかけて、すみずみまでじっくり眺めてほしい。左頁には太陽の誕生から現在までの流れが双六のように描いてあり、右頁は劇場になっていて、その当時の主役が描かれている。左頁が黄色とグレーのペン画、右頁が落ちついた色の絵の具というコントラストもいい。1964年発売のロングセラー。
せいめいのれきし
絵・文:バージニア・リー・バートン 訳:いしいももこ
価格:¥1,680 (税込)
76 p ; サイズ(cm): 27 x 25
出版社:岩波書店 ; ISBN: 4001105519 ; (1964/12)
ジャングル
あらすじ 現地コスタリカを取材したドキュメント絵本。「そこには、さまざまな生き残るための知恵や、自然となかよくくらしていくための秘密が、かくされているかもしれません。」(あとがきより)絵:松岡達英
きっちりした正確な絵が好きな人にはたまらないリアルなイラスト。といっても、図鑑にあるような細密な絵とは少し違う。仕事に対する真面目さだけではなく、対象物への愛情があふれた絵だ。まるでジャングルのように熱くて濃密な本だが、表紙裏のスケッチ画や、ハナグマ・クモザル説明部分の単純なカットイラストがほっとさせる。圧巻はジャングルの動植物をびっしり見開き4ページに渡って描いたところ。
ジャングル 絵本図鑑シリーズ
絵と文:松岡 達英
大型本: 44 p ; サイズ(cm): 29×22
出版社: 岩崎書店 ; ISBN: 4265029140 ; (1993/10)
おやすみなさい 1,2,3
あらすじ 1から11までの数の絵本。数字以外の文字はない。だからといって、こどもにだけ見せておくなんてもったいない。こんな本こそが、おとなが眠りにつく前のささやかな時間にぴったりな本だと思う。絵:すぎたゆたか
水彩紙のざらざらした素材感とインクのにじみ。インクというのはどうしてこんなに色の境目が美しいのだろう。ほかの色とまじわりながら思いがけない別の色をつくり出していく。じっと見ているとここではない違うどこかに吸いこまれていくような深み。学生の頃、インクの魅力に惹かれてインクをそろえてみようとしたことがあるが、高くて3色ほど使っただけでやめてしまった。この本を久しぶりに手に取ってみて、もう一度インクで絵を描きたくなってきた。
おやすみなさい 1,2,3 ブッククラブ・国際版絵本
絵:すぎたゆたか
価格: ¥1,260 (税込)
単行本: 24 p ; サイズ(cm): 25×25
出版社: 至光社 ; ISBN: 4783400431 ; 第8版 (2000/01)
六にんの男たち
あらすじ 6人の男が平和な土地を探している。やがて土地を見つけ金持ちになると、財産を守るために兵士を雇う。平和だった村が変わっていく。なぜ人は戦争をするんだろう?絵:デイビッド・マッキー
他にも反戦や平和をテーマに絵本を書いているマッキー。この本は表紙以外は線画で色は黒のみ。重いテーマに重い色を使いながら、兵隊が眠っている姿は赤ん坊のようだし軍隊が訓練している姿はコントのようだ。たぶん根っこのところが楽天家で前向きな人なんだろう。こんなに面白くて軽妙な絵で反戦を訴えることのできる人に私は憧れてやまない。
デイビッド・マッキー
1935年英国生まれ。漫画家・イラストレータ・自動番組制作。ぞうのエルマーシリーズなど、数々の名作を作り続けているマッキーの70年代の本は手に入りにくくなっている。
六にんの男たち -なぜ戦争をするのか?
作:デイビッド・マッキー 訳:中村こうぞう
価格:¥1200
単行本: 37 p ; サイズ(cm): 25 x 18
出版社: 偕成社 ; ISBN: 4039610105 ; (1975/09)
シンドバッドの冒険
あらすじ わしは、一生の間に、七回のこう海に出た。七回とも、もう少しでいのちをうしなう、あぶない目にあい、もう二どとたびになんか出るものかと、そのたびごとに心のそこから思ったね。それなのに、なぜまたしょうこりもなく、つぎつぎとこう海に出たかというと…。 絵:三好 碩也1969年刊「少年少女世界の名作」シリーズを新装再刊した、とういことで私の持っている本(写真)は今販売されている本とは表紙が違う。第○刷、って記述がないから私が持っているのは初版本なのかな?値段は580円。この初版本の表紙がすごく好き。人喰い人種の島で船乗り達が美食にふけり豚のようになってしまうシーン。最後には草まで食べ、ふんがふんが、としかしゃべられなくなる。(同じ設定が宮崎映画にあったね)そういうの、こどもにとってはめちゃくちゃ怖かった。嘘だとわかっているのに怖い。怖いのに楽しくてたまらないのは絵が相当に楽しいから。楽しくてエキゾチックでポップでデザイン的。アラビアンナイトがこの作風で全部(1001作!)揃っていたらどんなにステキだろう。1001人のイラストレータが、楽しくてエキゾチックでポップでデザイン的に描きまくるっていうのもいいな。是非エントリーしたい。
私のシンドバッドの冒険 少年少女世界の名作16
新装再刊したシンドバッドの冒険 世界の名作
絵:三好 碩也 文:阪田 寛夫 原作:アラビアンナイト
価格: ¥1,260 (税込)
大型本: 83 p ; サイズ(cm): 27×21.5
出版社: 世界文化社 ; ISBN: 4418018077 ; (2001/05)
おやゆび姫
あらすじ チューリップから生まれたおやゆび姫。カエルやコガネムシにさらわれモグラに求婚されても、なすすべなく泣いてばかり。見かねたツバメが連れ帰った国には同じように小さくしかもハンサムな王子様が。絵:いわさきちひろ
「はな のなかには、うつくしい おうじさまが いました。」「あの きたない ひきがえるや もぐらに くらべると この はなの おうじさまは、なんと すてきな かたでしょう。」身も蓋もないじゃん、姫!このあたりに批判があったのか、現在は別の作家が文章をつけたものになっている。 → 参考サイト Amazon.co.jp
ま、内容はともかく。絵は、いわさきちひろが担当している。非常に人気の高い人だが、私はあまり好きじゃなかった。こどものあどけない姿に偽善的な何かを感じるから。が、この「おやゆび姫」ったら。
まずボートに乗っているシーンにやられてしまう。さまざまな色のバラの美しいこと。とくにピンクが、花びらの繊細さや柔らかさをよく出しながら甘すぎない。そういえば姫はいつも薄いピンクのドレスを着ているし、必ずどの絵にもピンクが使われている(名付けて、ちひろピンク)。葉の緑は黄みがかった暗い色で渋い。この系統の色合いは壁、土、糸車、クモ、とよく使われていて、ピンクとの対比が美しい。全体に、どんな色もグレイッシュ(少し濁っている色合い)なのに透明度が高く、あっさりしているのに深みがある。
姫は無表情に近いのだが、これは意識的にそう描いたのだろうか。自分というものがないこの主人公の内面をよくあらわしている。
私の「おやゆび姫」→
世界名作絵本全集 価格:¥350(時価・購入年不明) ひかりのくに株式会社
講談社から大型本で出ています。おやゆびひめ
絵:いわさきちひろ 原作:アンデルセン 文:天神しずえ
価格:¥1575 (税込)
大型:サイズ(cm): 27 x 25
出版社: 講談社 ; ISBN: 4062667819 ; (2005/03)
関連リンク ちひろ美術館 http://www.chihiro.jp/top.html
ぐるんぱの ようちえん
あらすじ 汚くて、臭い。泣いてばかりで何もしない象 ぐるんぱを、みかねたほかの象たちが社会に送り出す。一生懸命働いても不器用でクビになってばかり。けれども最後には幼稚園経営という天職を得る。 絵:堀内 誠一
他サイトでのあらすじはもっとほのぼのしてます(笑)
参考サイト → Amazon.co.jp
ホリウチグリーン
青みがかった緑、黄みがかった緑、淡い緑、深緑。堀内誠一の緑が泣けるほど美しい一冊。私はひそかにこの緑を、ホリウチグリーンと呼んで愛している。ぐるんぱが転職を繰り返す菓子屋・陶器工房・靴屋・ピアノ工場・自動車工場、それぞれが色彩豊かで物語に劣らずリズム感があるが、何と言ってもジャングルの緑には心をうばわれる。主人公がグレーで、とても大きな象という設定であるため、全体が暗い印象になってもおかしくない。しかし透明感あふれる(緑を基調とする)色彩がたまらなく幸福な気もちにしてくれる。
脇役もよく、特に陶器作家のさーさんのひげヅラは何とも言えずユーモラス。また、さーさんのつくる陶器や飼い猫の色使いは見ているだけで楽しい。
堀内誠一について
100冊以上の名作絵本や挿し絵を描いた、大好きな絵本作家だったが、「アンアン」「ポパイ」のタイトルロゴデザインやアートディレクターでもあったことを知りびっくり。デザイン・文章・写真、何でもこなした天才であった。→ 雑誌づくりの決定的瞬間 堀内誠一の仕事







